ストーリー「アーカイブ」

様々な記録が詰まった大きな箱。
しかしアクセスする術は永遠に失われてしまった。


この日、私は巨大な立方体の水槽を見つけた。

朝、日の出からわずかに遅れ出発する。
昨日辿り着いた湖を様子見つつ時計回りに進むことにした。
水深が深いせいか湖面は暗く、水面下の様子を伺うことはできそうにない。
以前別の湖の中に潜ったことがあったが良いものではなかった。アレはあとが大変なのだ。

太陽が頭上を通過したあたりから、突然天気が悪くなりだし雲の動きも早くなってきた。
重い雲を割くように白く大きな雲が帯状に広がっている。
おかしな天候にいぶかしげつつも周囲を見渡していると突如大きなガラス体を目にする。

山岳地帯の中に在るようだが距離感がつかみにくい。
旧世代の建物かオーパーツであると踏んだ私はできるだけ近づくことにした。


水槽、途中からそう呼称していたガラス体に向かってから1日が経っていた。
どうやら簡単にたどり着かせてはくれない"類い"のものだったようだ。
もうしばらく粘ってみることにする。



5日ほど進んでみて変化が現れた。
水槽は同じ場所、同じ大きさのままだが辺りの色が変化してきたのだ。
太陽光の影響であるとか外部からの干渉の様には思えない。
気がつけば周囲の地面が塩のような白く輝く結晶に変質していた。


特異的な現象を引き起こしているのは明白だった。
調査はここで断念する事にする。

来た道を戻ろうと振り返ると重い雲を割くように白く大きな雲が帯状に広がっている。
風がジャナンの髪を揺らした。

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